黒耀石鉱山展示室 星くそ館
DATA
- 所在地
- 長野県小県郡長和町
- 用途
- 博物館
- 構造・規模
- 鉄筋コンクリート造・平屋建て
- 延床面積
- 129.44㎡
- 竣工年月日
- 2021年3月
長和町には縄文時代の人々が黒耀石を掘り出していた痕跡が残る星糞峠黒耀石原産地遺跡( 国史跡) があります。今回の建物は長年の発掘作業により剝ぎ取られた高さ5m、長さ20mにわたる地層そのものを展示する世界でも類を見ない施設です。敷地は標高1500mの山中。麓にある黒耀石ミュージアムから遊歩道でのみアクセス可能な電気も水もない自然の中という特殊な環境の建物に求められた事は大きく分けて3点。
1、遺跡内のため自然景観を損なわないデザインとすること。
2、 展示する地層を適切に保存できる建築であること。
3、1500mの高地における建築物として耐候性、メンテナンス性に優れること。
以上の要望を総合的に叶える方針として、躯体は鉄筋コンクリート造とし外断熱工法を採用。外壁材には耐候性鋼板と呼ばれる材をパネル状に施工することを選択しました。この耐候性鋼板は錆びることで耐久性が増す、特殊な材料です。年月が経つことで錆びていく鋼板の表情は素材そのものの風合いであり、既存の自然環境によく溶け込みます。また、訪れるごとに建物の表情が変化する材でもあり、はるか縄文時代の人々の痕跡を展示する施設として、その長い時間の経過を視覚的に表現することも意図としています。展示室内部は地層をダイナミックに感じるワンルーム空間。地層を余すことなく見るための床上1.5mのガラス通路の中ほどでは、縄文人の活動の様子をプロジェクションマッピングで見ることができます。